FTO調査(侵害予防調査)とは ― 製品を出す前に「他社特許」を確かめる

自社の発明が新しいかではなく、「製品を売っても他社特許を侵害しないか」を確かめる調査です。事業化の前に押さえておきたい基本を整理します。

特許調査 / 最終更新:2026年6月

FTO(Freedom to Operate)調査とは、自社の製品・サービスを市場に出したときに、他社の有効な特許を侵害しないかを確認する調査です。「事業の自由度」を確かめる、という意味で侵害予防調査とも呼ばれます。

先行技術調査との違い

混同しやすいのが先行技術調査との違いです。先行技術調査は「自分の発明が特許になるか(新規性・進歩性があるか)」を確かめるための調査で、過去のあらゆる公開文献が対象です。一方、FTO調査は「自分の製品が他社の生きている権利に当たらないか」を確かめるもので、権利が有効に存続している特許(とくに自社が事業を行う国の特許)が対象になります。

  • 先行技術調査:目的は権利化の可否判断。対象は公知文献全般。期限切れ特許も新規性の証拠になる。
  • FTO調査:目的は侵害リスクの把握。対象は存続中の権利。請求項(クレーム)の文言を厳密に読む。

なぜFTO調査が必要なのか

特許は「自分が実施できる権利」ではなく「他人の実施を排除できる権利」です。つまり、自社が特許を持っていても、その製品が別の他社特許の範囲に入っていれば侵害になり得ます。製品を発売してから差止めや損害賠償を求められると、撤退・設計やり直し・在庫廃棄など影響は甚大です。投資・資金調達やM&Aのデューデリジェンスでも、FTOの状況はしばしば確認されます。

基本的な進め方

1. 自社製品の技術的特徴を分解する

製品を構成要素・機能ごとに分解し、「どの部分が他社権利に触れ得るか」の当たりをつけます。すべてを一度に調べるのではなく、新規性の高い中核部分から優先します。

2. 対象国・存続中の権利に絞って検索する

事業を行う国(例:日本・米国・欧州)の、権利が存続している特許を中心に検索します。出願中(公開済み・未登録)の案件も、将来権利化される可能性があるため監視対象に含めます。

3. 請求項(クレーム)を読み込む

FTOの核心は請求項の文言解釈です。製品が請求項に書かれた構成要件を「すべて」満たすと、原則として侵害が成立します(オールエレメントルール)。要素が一つでも欠ければ、文言上は外れる可能性があります。

4. リスクを評価し、対応方針を決める

関連しそうな権利が見つかったら、抵触の可能性を高・中・低で評価し、次の打ち手につなげます。

リスクが見つかったときの対応策

  • 設計変更(回避設計):請求項の構成要件の一部を満たさないように仕様を見直し、権利範囲の外に出ます。
  • ライセンス交渉:権利者から実施許諾(ライセンス)を受けて、正当に実施します。
  • 無効資料調査:その特許に新規性・進歩性を否定する先行文献がないかを調べ、権利の有効性そのものを検討します。
  • 権利の買収:事業上重要であれば、対象特許自体を買い取る選択肢もあります。

専門家と組むべき理由

請求項の解釈や侵害の成否判断は、技術と法律の両面の知識が必要で、最終的な法的判断は弁理士・弁護士の領域です。FTO調査は「調べて終わり」ではなく、結果をもとに事業判断につなげることが目的です。検索・分析の段階から専門家と連携することで、見落としと過剰な萎縮の両方を避けられます。

inventist.jp の調査支援。 製品化前のFTOの当たりづけから、関連特許の抽出・整理、回避や売買・ライセンスといった出口の検討までを支援します。最終的な法的判断は提携弁理士・弁護士と連携して進めます。初回相談は無料です。

* 本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。侵害の成否・権利の有効性の判断は弁理士・弁護士等の専門家にご確認ください。